福祉国家とMMT

福祉国家とMMT

大きい政府と福祉国家、小さい政府と新自由主義という二分法では人類社会の幸福は実現しません。第三の選択肢があります。

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行き過ぎた福祉国家では家族の崩壊が進む?

福祉国家になるほど家族崩壊が進むという意見がかつて見られました。ワーキングプアが増えると、結婚する人も減り、子供を産む人も減ります。家族の崩壊から日本を救うために実現すべきは子を産みたい女性が働く必要のない社会です。日本は世界に類のない少子化と高齢化社会をむかえようとしています。これから日本はどんな社会をめざすべきなのでしょうか。ここに興味深い話があります。

 

スウェーデンで実際にあった出来事

1998年に、スウェーデンの100歳以上の高齢者は約700人いたそうです。その高齢者にある大学生がインタビューをした記録があります。ある老人に大学生が質問しました。「おじいさんの一生の出来事で一番大きかった変化はなんですか?」大学生は、第二次世界大戦やテレビの出現など戦争や科学技術の変化などを老人が回答すると思いこんでいたのです。ところが、この老人は、大学生の予想もしなかった答えを返してきたのでした。「それは家族の崩壊だな」。

 

世界最速で進められたスウェーデンの福祉国家建設

スウェーデンでは、社会主義的な思想が普及し福祉国家の建設が世界最速で進められました。そして、まず、女性たちが子供を保育所に預けて、外で働くようになりました。家の中の仕事の多くは、「公的機関」の仕事になりました。つまり乳幼児の世話はいわゆる保育所が行いました。学校給食は無料で提供されました。高齢者には公的な老人ホームがすべての介護をします。それはスウェーデンがめざした男女完全平等の社会でした。そして、男女共同参画思想から出た女性の社会進出支援、税金が高い、高福祉による公正で平等な社会が実現しました。その結果、人の絆が次第に脆弱になり、多くの家族が崩壊しました。

 

福祉国家スウェーデンでは富裕層の海外脱出が続出

公的機関はたいへんなコストが税金を高額なものへと変容させ、金持ちは国外へ出ていってしまいました。公的機関の建物を建て、それを維持する費用や人件費をまかなうため高額の税金を必要としたのです。大き過ぎる政府と公的部門の肥大化が生じました。50年代はGNPの30パーセントであった公的部門の支出が、60パーセントになったのは80年代です。スウェーデンの労働人口は410万人ですが、その240万人が民間企業、170万人が公的機関という異常な比率になりました。公的部門に女性が集中、その結果、労働市場のバランスと流動性が崩壊したのです。日本にとって今、気をつけなければならないことは、犯罪発生が米国の二倍になり、離婚率も青少年の非行も激増したスウェーデンの失敗に学ぶことです。

 

日本でも進むスウェーデン式の社会変革の危険性

しかし、いまの保育所拡充や保育所無料化の動きは、まさにスウェーデン式の社会変革です。乳幼児期に母親から引き離される子供が成長して、どうなっていくのか、それをスウェーデン社会が示してくれています。むしろ乳幼児期の子供をかかえる母親が家庭で育児に専念できるような政策にお金を使うべきなのです。スウェーデンは、外国人労働者をどんどん入れた結果、それが労働移民となり、永住し、外国人街ができ、犯罪の温床になっています。その結果、かつては銃犯罪が欧州でもっとも少ないことが自慢であったスウェーデンが、いまや欧州でもっとも銃犯罪が多発し、強姦犯罪も多発する国に成り下がりました。外国人犯罪によって、もともとのスウェーデンの民が大きな苦しみを背負うことになったのです。日本も外国人労働者をどんどん入れようとしていますが、それがいかに危険なことであるか、このことを日本の政府もよくわかっていないようです。今ならまだこの流れを止めることができます。労働移民を入れない。労働移民の抜け道になる経済特区もつくらない。それしか日本を守る道はありません。現政権はむしろ積極的に移民を入れて少子化の対策にしようとしているようですが、これは大きな失政となります。

 

MMTを理解すれば、福祉のための財源を心配する必要はない

現代貨幣理論(MMT)とは、貨幣の実態を突き詰めたものです。それは政府には通貨発行権があり、必要な財源は通貨発行でまかなうことができるという真実です。そして、発行し過ぎた通貨を税として回収することで、市中に出回る通貨の総量をコントロールし、経済成長率を適正なレベルに安定させることが可能です。通貨発行は、自国通貨建ての国債発行によって行います。国債は、借換債を繰り返して無限に借り換えていくものなので、事実上の通貨発行となります。これは日本やアメリカやオーストラリアやイギリスなどの主権通貨国であれば、どの国でもできることです。一方、主権通貨国の地位を手放して欧州連合に吸収されたギリシャなどでは、これはできないことです。そのためギリシャは財政破綻を起こしました。これに対して、主権通貨国では、自国通貨建ての国債をどれだけ発行しても、財政破綻は起こりません。デフォルトしないのです。なぜなら、国債は通貨発行で清算されうるものだからです。このことを明確に説明したのがMMTなのです。MMTに反対する人の多くは国債の金利があがって破綻すると主張しますが、自国通貨建ての国債は、日本で言えば、日銀が無限に買い取るので、利息が上がることはおこりません。もし、日銀が市中の国債の買い取りをしない場合、売れ残りますので、売れない国債の金利は上昇するのです。そして、これは政府と日銀が協調して動く日本などの主権通貨国ではおこりえないことなのです。ですから、今の日本において、増税などは必要がなく、むしろ、消費税を廃止し、社会保険料の徴収も廃止し、低所得層の手取りを増やすことが、最善の福祉政策となるのです。若者の年収が増えると結婚率も上がることがわかっていますので、少子化は解消されるということです。移民による人口の補充などは必要ないということになります。

 

消費税を廃止し、インボイス制度も廃止し、ガソリン税も廃止

若者層の低所得状態を解決すれば必ず結婚が増えて少子化が解消されます。まず若者の手取りを増やす政策をすすめるべきです。そのためには、まず消費税を廃止すべきです。消費税を廃止することで、派遣労働が減ります。派遣労働が増えたのは、派遣に外注することで消費税を節約しようとする企業側の都合ですから、消費税が消滅すれば、当然のこととして、正社員としての雇用が増えるのです。むろん、官製ワーキングプアを撲滅するべく、役所で働く人を派遣ではなくすべて正社員雇用するべきです。それだけの予算は、政府には十分に出せるのです。また社会保険料の徴収も廃止し、すべて国債発行でまかなうように改めるべきです。さすれば、若者の手取りが増えるので、必ず結婚は増えます。インボイスは低所得者をさらに貧困化させる増税であり、弱者をいたぶる最悪の政策です。ガソリン税もすみやかに廃止し、ガソリン価格を下げるべきです。また高速道路などもすべて無料化すべきであり、その費用もすべて国債発行でまなかうことができるのです。日本は通貨発行権を持つ主権通貨国であり、通貨発行ですべての財源をまかなうこともでいるのです。ただし、税の徴収は必要です。税はインフレを防止し、累進課税などで社会のバランスをとるものです。また税があるからこそ円の流通が確立されます。すべての国民は円で納税するのです。ですから無税国家というのはありえません。インフレーションが進まない程度に税の徴収をしていくのです。今の日本は実際にはデフレです。実質賃金は十年以上下がり続け、企業の倒産も増えています。このようなときこそ、MMTにもとづく、財政出動をして、国民を救済しなければならないのです。

 

消費税の正体は売上税であり中小企業が負担している

消費税は富裕層のほうが支払っている金額は大きいなどと主張している人もいますが、金額が問題なのではないのです。消費税は、貧困層にとっては、ものすごく大きな負担なのです。手取りの年収三百万の人は、生活するうえで消費税に三十万とられますが、それは手取りが三十万減るという深刻な事態となります。一方年収三千万あるなら、三百万の消費税などはまったく問題となりません。なので金額の大小ではないのです。その人の年収を考えると、消費税は貧困層を打撃する悪税とわかるのです。これは、税の応分負担原則にも背反する悪税なのです。累進課税である所得税のほうがよほど公平性があるのです。そして、消費税は消費者が支払うのではなく実際には売上税として中小企業が支払いますので、これは中小企業潰しの悪税なのです。インボイスはその意味で最悪です。中小企業は、消費税分を上乗せした価格で物やサービスを販売できていません。それができるのは大企業だけです。実際には不景気ですから値引きしたりしてようやく商売します。なので消費税分の上乗せどころか、持ち出しなのです。これが実質は売上税であるという理由です。消費税という名称でごまかされてはなりません。消費税こそ日本経済を低迷させた真犯人であり、今こそ、消費税を廃止し、国民を救済しなくてはならない時なのです。消費税を廃止しても、政府はまったく困りません。必要な予算はすべて国債発行でまかなうのであり、消費税など問題外なのです。税は財源ではありません。財源は国債です。国債発行は通貨発行なのです。


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