マンガでサクッとわかる神功皇后 三韓征伐と皇位の継承

マンガでサクッとわかる神功皇后 三韓征伐と皇位の継承

最初の摂政であり、最初の女性政治家であった神功皇后

「百歳まで生きた」と記録された皇后は、実は50歳で崩御。三韓征伐の当時、本当は18歳の少女だった――日本史でいちばん誤解されている女性の話
日本の歴史のなかに、こんな人物がいたことを、あなたはご存じでしょうか。


神とじかに語り合ったとされる、稀代のシャーマン。
日本ではじめての摂政となり、政治の実権を握った女性。
女の身でありながら大船団を率い、しかも、血を一滴も流さずに、海の向こうの三韓の国々を臣従させた指導者。


その名を、神功皇后(じんぐうこうごう)といいます。
かつては一万円札の顔にもなり、日本のお札にはじめて描かれた女性でもありました。それほどの人物なのに、いまの私たちのほとんどは、彼女について何も知りません。


なぜか。答えははっきりしています。学校で、ほとんど教わらないからです。
唐突ですが、質問です。


「日本の建国って、いつ?」
「初代・神武天皇って、本当に実在したの?」


そう聞かれて、あなたは胸を張って答えられるでしょうか。
いざ「自分の国のはじまり」を語ろうとすると、言葉が出てこない。いちばん近くにあるはずの「自分自身のルーツ」を、まるで知らない、そんな日本人が増えています。
昨今の皇室典範改正に関する騒ぎもこうしたところに本当の原因があるのではないでしょうか。


そんな私たちに、皇位継承の本質を教えてくれるのが神功皇后という偉人でもあります。『日本書紀』を読むと、神功皇后はおよそ百歳まで生きた、と記されています。
神功皇后に限らず、古代の天皇は信じられないぐらい長寿として記録されいます。それは本当だったのでしょうか。中には、百数十歳の天皇も複数いたことになっています。それはもう「伝説」であって、生身の人間の話には聞こえない。多くの人が古代史を「おとぎ話」として遠ざけてしまうのも、たぶん、この感覚のせいです。


ところが―です。
ここに、「春秋年(しゅんじゅうねん)」という、古代のものさしをあててみると、景色が一変します。歴史研究家の長浜浩明氏が解明したのが、春秋年という古代の年紀の存在です


これは、一年を春と秋の二回に分けて数えていた、という古い暦の考え方です。この鍵を一つあてるだけで、「百歳の皇后」という霞(かすみ)がすっと晴れ、その奥から、まったく別の姿が立ち上がってくるのです。


海を渡ったとき、彼女は―まだ十八歳の少女だった。


伝説の女帝ではなく、若く、迷い、それでも国のために立ち上がった、ひとりの少女。この瞬間、神功皇后は私にとって、教科書の彼方の「神話」から、手の届く「人間」に変わりました。この読み替えの快感こそ、古代史を読む醍醐味だと、私は思っています。


もう一つ、どうしても伝えたい話があります。
神功皇后の遠征は、力ずくの征服ではありませんでした。伝承によれば、彼女は一滴の血も流さずに、相手を平和のうちに従えたとされています。
女性が軍を率いること自体が異例だった時代に、力ではなく、別の何かで人を動かした指導者がいた。―その事実だけで、私は胸が熱くなります。強さとは何か、リーダーシップとは何かを、二千年近く前の一人の女性が、静かに問いかけてくるようでした。


そして本書がもう一つ描くのが、彼女の物語の先にある「一本の糸」です。神武天皇から令和の御代(みよ)まで、途切れることなくつながってきた皇位の継承――その糸が、どのように受け継がれ、守られてきたのか。神功皇后は、その長い長い物語の、大切な結び目の一つなのです。


だから、こういう本をつくりました
こうして知った面白さを、できるだけ多くの人に、いちばんやさしい入口から届けたい。
そう思って生まれたのが、拙著『マンガでサクッとわかる神功皇后 三韓征伐と皇位の継承』です。